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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ロブスター」
さぁ恋愛関係になった二人はどうなるか?ラストに、あっと驚く「春琴抄」になるなんて、思いもしませんでした。思春期に読んだ谷崎の「春琴抄」には、究極の愛だと感動した若き私ですが、あれはそういう語り口だからなんですね。今回は愚かしくも、とても切ない気分。近視と言うファクターはあっても、それ以降はお互いの人間性で愛し合った二人のその後は、観客に託すラストです。

コリンは数々のハリウッド大作で、マッチョなフェロモン出しまくる人気スターですが、私は苦手。この作品では18キロ増量して臨み、地味なメガネをかけ冴えない中年男です。ですが!初めて愛していいですか?くらい、素敵に見えました。どこも魅力のなさそうなキャラの中、姑息でひ弱な男性が、愛と勇気を奮い立たせる姿は、人間的魅力に溢れていました。その他、名のある華と実力を併せ持つ俳優陣が、欠点ばかりが目立つヘンテコな役柄を、哀愁を込めて演じています。これも監督が引き出した魅力でしょうか?特にレアなんて、ボンドガールより、ず〜と魅力的です。コリンが増量しても出演したかったのも、さもありなん。

この題材ならハリウッドで作れば、もっと解り易くて笑える作品になったでしょうが、愛や社会制度について考えたり出来たかな?と思います。目を覆いたくなるグロシーンもありますが、出来れば目を背けないで。自分勝手な解釈でどうぞ、と言われているような懐の広さも感じて、もっとランティモス監督が好きになりました。

04月03日(日)
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