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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「黄金のアデーレ 名画の帰還」
マリアの父の「一族でオーストリアに来て、貧乏のどん底から懸命に働き、富を築き、良き家族を作った。その誇りは誰にも奪えない」と語った別れの言葉にも、深く感じ入りました。戦争で財産や住む家が奪われても、人としての自尊心まで奪われてはいけないのですね。世界中で紛争が起こる中、被害にあっている人全てに、伝えたい言葉でした。

時空を度々遡り、過去が映し出され、とても効果的です。マリア一家が、どれほど文化的に豊かに暮らしていたかがわかるので、その後の侵略時の様子と絶妙な対比となっています。ミレン、レイノルズとも適役で好演。でも私は溌剌と若き日のマリアを演じた、タチアナ・マズラニーがとても気に入りました。

何故自分の血ではない国に住んでいる人がいるのか?その事に興味があれば、どうぞ聞いて下さい。その事から偏見が取れ、理解が深まる事もあると思います。人として一番持たなければいけないのは、自尊心。相手に持たなければいけないのは、尊重。ではないかと、私は思います。あちこちで紛争が起こり、世界中に亡命者や難民が溢れている今こそ、観る意義がある作品です。

12月01日(火)
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