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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「海にかかる霧」
そして思いもよらぬアクシデントが起こり、船上は凄惨な修羅場と化します。声のない阿鼻叫喚。この事柄から、船員たちの精神は平常さを失い、気の良い仲間であったのが、そこに”魔性”も加わり、それぞれが違う方向に暴走し始めます。船の上とは密室と同じなのだと感じました。

船を守るためなら、鬼にもなるチョルジュを演じるユンソクが圧巻。気性の荒い男であるのが、妻の前では小さくなる情けなさから一転、船上では首尾一貫「船長」であり続けます。常に血走った眼は、段々哀切から狂気に変わり、それと共に彼も変貌していきます。ユチョン君はこれが初映画だそうですが、素朴な青年の純粋さを失わなわず、泥臭いアクションシーンもラブシーンもこなし、相当頑張っていました。日本のアイドルも事務所がNG減らして、挑戦させてあげたらいいのになぁ。冒頭、出演者のメッセージがありますが、他の船員役の人たちも、それなりに端正な容姿から想像できないほど変貌していて、上手くキャラ作りをしていたと思います。

ラストは、色々想像できると思います。「九老」と言う場所での出来事は、
やはり船上は女を魔性にしてしてしまったと言う事なのかな?ラーメンに青唐辛子を入れる様子が切ない。茫然と見守るドンシクは、事の次第を悟り、やっと夢から覚めた事でしょう。

血生臭い場面も多く、濃霧や嵐の場面では、観ている私まで船酔いしそうになりました。そうそう、魚の匂いも感じたな。汚い場面も多いけど、韓国映画にありがちな過剰描写は意外と少なく、そういう点は賢く描いており、むしろ心理の怖さに焦点を当てたミステリーでした。お勧めです。

05月04日(月)
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