ID:10442
ケイケイの映画日記
by ケイケイ
[927469hit]

■「私の男」
後半の花は、成人して綺麗にお化粧して美しくなっています。少女の頃の無垢な魔性っぷりは影を潜め、代わりに年相応の知恵を感じさせました。自分の身の上に起こった凄惨な出来事、肉体の喜び、愛することの震えを、がしがし踏みしめて「なかった事」にしているような、花。選んだ男は凡庸な好青年。なかったことにするには、一番好都合のタイプ。対する淳悟は、「お前には無理だ」と、花ではなく男に告げます。しかし、もう花は戻ってこないとわかっているのでしょうね。

花は「なかった事」にしたい気持ちはあっても、決して忌まわしい出来事だったとは、感じていないと思います。父親から逃げたんじゃないと思う。堕ちていく「父」を救うのは、二人一緒に堕ちる事ではなく、自分が分別を弁えた大人になる事だと、花は思ったんじゃないかなぁ。こんな背徳的な関係でも、男は幼稚なままで、女は成長するもんなんだなぁ。それでも「私の男」は多分一生一人きり。でもその人には、悟られてはいけないことなのでしょうね。

06月19日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る