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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「世界の果ての通学路」
サミュエルの素直な吐露にも涙。「僕は障害者で、本当なら学校には行かせて貰えない。同じ年の女の子は、健常者で成績もよく、お金持ちだった。それでも学校を辞めさせられた。僕は学校に通えることに感謝している。将来は医者になりたい」。この言葉に涙しない人はいないでしょう。僻地に住む女子たちが学校へ通えるよう活動しているザヒラ。放牧を生業とする家業に役立つため、獣医になりたいカルロスなど、自分だけの事を考えている子は皆無です。
彼らの思う「立派な大人」とは、社会のため、家庭のために、役立つ大人なのです。

日本の子供達と全然違う。希望のない学校、社会にしてしまったのは、私たち大人なのだと、巡り巡って思い当たると、猛然と恥ずかしくなりました。この作品は、女性、貧困、僻地、障害など、あらゆる差別と戦いながら学ぶ子供を映しています。それは社会の差別に通じるものでもあります。平等に皆が教育を受けられる日本ですが、その平等が向学心を奪ってしまうという皮肉を感じました。

「お母ちゃんはどうでもええねん。あんたは自分の幸せだけを考えて」。これは私の母が私に言い続けた言葉です。一見自己犠牲をはらむ親心を込めた言葉に感じますが、自分の事だけを考える子供に育ったら、その子育ては間違いだったのだと、私は思います。ジャクソンが言うように、自分も周囲も幸せになる方法が、必ずあるはずだから。

劇場は子供の日と言う事もあってか、小学校高学年くらいのお子さんを連れ立っての鑑賞も多かったです。学校に通う子供達とその父兄、学校の先生に是非是非ご覧いただきたいです。心が洗われる作品。世の中の全ての子供たちに、神のご加護と祝福を願わずにはいられない作品です。

05月06日(火)
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