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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「魔法少女まどか★マギカ」(前後編)
ここにキュウベぇの真の狙いがあったわけ。「ここ(地球)では大人になる前の女の人を、少女って言うんだよね。だから魔法少女は、大人になると魔女になる」と言うセリフが、前編の最後に流れて、椅子から飛び上がるほど驚愕しました。(三男に言ったら「お母さん後編まで20分待っただけやろ?俺はアニメやったから、一週間待ったんやで」と、その時の焦る気持ちを吐露される)

ここから後半。彼女たちが与えられたソウルジェムと言う宝石のような物。これに秘密があり、キュウベぇは彼女たちが邪悪な魔女へと変化する瞬間を待っていたわけ

サンリオキャラの「シナモン」みたいで、可愛いでしょ?こいつが諸悪の根源。と言うか、実は地球外生命体なのですね。「契約の時、そんな事は聞いていない!」と怒る少女たちに、「聞かれなかったから答えなかった。今の状態は何ら契約の不履行はない」と言うキュウベぇ。確かにそうなのだ。騙したのではない。少女たちが浅はかだったのですね。ここに大人の女と契約するのではなく、人生経験の浅さ、純粋さ短絡さなど、効率の良さを求めて、ターゲットを少女にした理由があるのでしょう。

キュウベェの語る「世の摂理」は、確かに統合性がある。「家畜を可哀想と思うかい?」と言った件など、なるほどと思います。しかし納得できないのは、人間としての感情です。感情を持たないキュウベェには、それがわからない。この冷酷にして冷徹な姿は、地球人にもいそうですよね。

お話は順番に主役が代わり、それぞれの背景が語られます。さやかやほのか、途中で出てくる佐倉杏子も、しっかり描かれます。私が好きなのは、杏子ちゃん。彼女も父親を思い魔法少女になったのに、今は独りぼっちの身の上。ドライで生々しい魔法少女観を語り、さやかと敵対しますが、その実、今度はさやかの為に身を投げ出すのです。魔法で盗んだ物を常に食す姿は、生への渇望だと思いました。そうして生きるのが、彼女なりの父への鎮魂なのかと思いました。

謎めいてクールなほむらの想いにも、とても泣かされました。誰よりも魔法少女のルールを熟知している彼女は、何度跳ね返されても希望を持ち続けます。それはまどかへの想いです。誰かを心から思う、その崇高な気持ちが、誰ひとりとして報われない。本当に居た堪れない。これが現実なのか?と、涙を流しながら観ていた私に、救世主が現れます。それがまどか。何度も「誰かのために」と、魔法少女になろうとする直前、ほむらに阻止されていました。

私がまどかに感じたのは、自己犠牲ではなく、無償の愛です。自己犠牲とは、自分の幸せや欲望を捨て去る事。そこに自分自身の幸せはあるのか?しかし無償の愛を捧げる事は、自分も共に幸せになる事じゃないでしょうか?他人のためだけに生きる人生は虚しい。でも自分の為だけに生きる人生は、もっと虚しい。自分を愛し、心から愛す他者の存在を持つ。そこに充実した人生があるのじゃないかと思いました。

キュウベェはまどかの力の大きさを、くり返し起こる経験がそうさせたと言いますが、私は違うと思う。ほむらのまどかへの祈りの深さが、彼女を大きくさせたのだと思うのです。

思春期の子を持つ母娘の描写も、とても印象的です。中学生とは、自分の世界の中心が家庭や親ではなくなる時期です。子を信じるというのは、簡単なようで、とても難しいもの。しかし遅かれ早かれ、子は親から巣立つものです。その見極めに、自己中心的ではなく、他者を愛せる子になっているか?とても重要な分岐点に感じました。まどかの選択は、親にとっては哀しいものですが、でもこの結果は、お母さんの子育ては正解だったんですよ、と言う証でもあると思いました。

いっぱい書いたけど、まだ物足りない。でもこのくらいで。関西は今夜深夜に一挙放送があり、関東地方は11月4日です。(ここをクリック!)この感想を読んでピンときた方、是非録画されますよう、伏してお願い申し上げます。

では来週には新編「叛逆の物語」観るからね!

10月25日(金)
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