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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「アンコール!!」
父と息子の関係の描き方は上手いです。「父さんは俺の事を褒めた事がない。どんなに努力してもだ。自慢の息子と言われたかったのに」と言う台詞は、うちの息子たちも思っているだろうなぁと、また涙。うちの夫ときたら、口癖が「俺の気に入った子供は一人もいてへん」です。酷いでしょう?
多分ね、悪気はないんですよ。でも子供がどれほど傷つくか想像できないわけです(うちの夫は特別感受性が薄い)。でもこんな父と息子は、世間にはたくさんいるはず。これも父と息子の永遠のテーマでしょう。それをカバーして、父と息子の軋轢を少なくしていたのがマリオンだったはず。「母さんがいないのが寂しい」。子が出来自分が父親になろうとも、ジェームズもまた、息子である事を乗り越えられません。あぁやっぱり私が先に死ねないわ。

予告編で流れる「お祖父ちゃん、頑張って!」の孫のジェニファーの声援は、ドンピシャの場面で感動的です。以前の職場で、独身の息子さん二人と暮らすお婆ちゃんの患者さんが、「年寄りでも女の人が家にいると、家に潤いが出る。男だけだと家庭が殺伐とするから、私は長生きしたいねん」と仰る方がいました。ジェニファーの声援は、その言葉を思い出します。きっとこれから彼女が、マリオンの代わりをしてくれるでしょう。

ラストシーンは、これからのアーサーの居場所、笑顔でマリオンとの思い出に浸れるであろうと想像できて、本当に良かったと思いました。出演者は皆とても素敵。スタンプとレッドグレイヴは老いてもまだまだ俳優として、渋さと華を兼ね備えるし、ジェマも少々おせっかいの善人、涙で目の周りを真っ黒にしてもまだ泣くようなお茶目さも愛らしいエリザベスを演じて、チャーミングでした。彼女、色んな役を演じているし、大成しますよ。エクルストンも、アダルトチルドレン的ではない、普遍的な息子の悩みを繊細に演じて、とても良かったです。


























画像は若かりし頃のスタンプとレッドグレイヴ。とても綺麗でしょ?でも今の彼らもとても素敵でした。若い頃のように、人生に希望は持てなくなっても、成りたい50代、60代の理想は持てるはず。幾つになっても変われる、とはそういう意味なのでしょう。もう一度、良い映画でしたと書いておきます。

07月11日(木)
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