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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「さよなら渓谷」
身の上が明かされるまでに出てくる、激しいセックスシーンとは対照的な、静かな距離感のある二人。安らぐ様子には、必ず少し不穏も覗かせます。セックスは男が誘う時もあれば、女の時もある。肌が合うと感じる二人の根底には、誰にも怯えなくて済むと言う気持ちが、必ずあるはずです。スクリーンを見つめていると、男女とは、本当に理屈じゃないんだなぁと、痛感するのです。

「このままだと幸せになりそうだったから」と言う尾崎。かなこは「幸せになるため、一緒にいるんじゃない」と言います。何故?一番かなこが許せないのは、あの時の軽はずみに尾崎たちに着いて行った自分なのだと思います。尾崎を許し、二人で幸せになる事は、自分の行動を受け入れる事です。それは出来ないのでしょう。

自分を一番委ねられる運命の人が尾崎なら、それが背徳であっても、私はかなこに受け入れて欲しい。かなこを嘲笑した世間など、幾ばくの値打ちもないと私は思うのです。数奇な道を歩む二人を観て、平凡な我が身に感謝し、妻の存在を大切なものと認識した渡辺。「必ずかなこを見つける」と言う尾崎。紆余曲折を経て得た、男性の真心だと思いました。この気持ち、かなこにも受け入れて貰いたい。私はかなこには、幸せになって欲しいと、切に思います。もちろん尾崎にも。

06月28日(金)
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