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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日(2D字幕)」
家庭に厄介なものを抱えたローティーンの少年少女ダニエルとローレンが、夕暮れ時にためいき橋でキスする二人は、永遠の愛が誓えると言う言い伝えを信じ、フランスからベニスまで行こうとします。しかしこの言い伝えは、チンケな詐欺師の嘘とわかり落胆する二人。しかしローレンが、この言い伝えに賭けた真剣な気持ちを大泣きしながら語るのを聞いた詐欺師は、二人のため、一世一代の善行を働きます。「信じれば、嘘も真実になるのさ」。
ダニエルとローレンは、もう会える事はないでしょう。それは年齢が重なれば、もっと理解出来るはず。でももしかして、もう一度会えるかも?その気持ちは生涯抱き続けるはずなのです。それが「希望」です。大切なのは真実ではなく、その過程で自分が咀嚼し、心の糧を得る事なのだと思います。
パイと虎の物語も一緒。どちらが希望が湧き、人生の指標となる出来事なのか?大切なのは、その事なのだと思います。だってパイが自分の数奇な体験を、生きる糧にした、それは「真実」なのだから。
「虎はあなただ」と、作家は言いました。だから去る時、パイは泣いたのですね。あれは虎と暮らした227日と共に、彼の少年期が幕引きとなり、大人になる惜別の思いなのだと思います。パイの父は「虎とは友だちにはなれない」と言いました。なってはいけないのです。だから虎は振り向かない。パイが虎になったのは、227日だけ。生還したからには、生きるために殺した魚に涙する、本来のパイに戻らなければならないのですから。
荒くれた海上のスペクタルシーンや、幻想的で美しい自然のシーンなど、映像的にも見所がいっぱいで、やっぱり3Dにしとけば良かったと、後悔しました。時間がなかったんですよー。実を言うと、優れた映像作家だと認識はしているものの、アン・リーはそれほど好きな監督ではありません。全部観ているわけじゃないけど、手放しで好きな作品は、「ウェディング・バンケット」だけです。でもこの作品は、二番目に好きなアン・リー作品となりました。
02月12日(火)
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