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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「トガニ 幼き瞳の告発」
ですが、韓国の映像作家たちは、国だけではなく自国民の民度の低さも許していません。他の作品からもそう感じるのです。主演のコン・ユは、この作品の原作を兵役の時の昇進時、上司からプレゼントしてもらい、映画化を熱望したのだとか。国民の義務ではありますが、入りたくもない軍隊に入り、彼は自分に取って国家とは?国家にとっての自分とは?との思いを抱いたはずです。国を愛するからこその、映画化への熱望だったのだと思います。「絵ばかり描いている」(母親談)イノは、現実を見ず青臭い理想に走っていたはずです。その理想を具現化して真の大人になるのか?彼は試されているのです。この学校は彼を待っていたのでしょう。コン・ユが兵役中に原作と巡り会ったのも同じ。俳優としての社会的意義を果たすべき、とコン・ユも捉えたのでしょう。
子供たちの熱演には目を見張りました。監督は子供たちのトラウマにならないように細心の注意を払ったそうですが、正直心配になるほど。この作品に出演した事を、誇りに思って欲しいです。
前半、容疑者たちが逮捕されるまではスピーディな展開で良かったですが、逮捕された後の学園は混乱したはず。その様子は描かれていません。そして告発したのは三人の生徒だけですが、その他の生徒の聴き取りの様子もないし、過去を遡っての調査の様子もありません。証言台に立つのは守衛だけで、イノの同僚教師たちにはなし。その他も説明不足ではないのですが、描き足りない部分が感じられたのが、少々残念でした。これがあれば、掛け値なしに傑作だったと思います。
しかし観るべき志の高い作品であるのは、間違いありません。この映画のラストは、微かな希望を抱かせるものでしたが、その希望は観客の手によって現実となりました。韓国人は民度の低さに甘んじているわけではなさそうです。
08月12日(日)
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