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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ヒミズ」
まつげの長い可愛い目は、いつも眠そうで重たい住田。これは目を見開くと自分の生きる環境が全部見えてしまって、耐えられないからかと思いました。大きく目を見開く茶沢とは対照的。同じく自分の環境を受け入れながら、立ち向かっていくアプローチの違いのようでした。やっぱり子供でも、女性の方が強いのかな?
主役二人は共に大熱演でした。余すところなく住田と茶沢の心の中を、しっかり届けてくれたと思います。その他、渡辺哲、吹越満、でんでん、黒沢あすかなど、「園組」と言っていい人たちが脇でしっかり若い二人を支えていたのも、良かったです。特にでんでんの野蛮で暴力的ながら、懐の深い金貸しが印象的です。わかりやすく善良さが溢れる渡辺哲も父性の在り方なら、でんでんも父性です。過激な描写の中に、清濁併せ飲む事の必要性が説かれている気がしました。
震災の人々には行政の手助けはないし、学校にこなくなった二人には、教師の家庭訪問もなし。これは脚本の手抜かりではなく、意図的でしょう。現在の国の状況を皮肉っているつもりですかね?震災の人々への辛辣な描写には、私は何もしていない自分が恥ずかしくなりました。これは計算かな?でも学校の方がどうかしら?放っておく教師及び学校はないと思います。夜野があんな形で住田を救ったのは意外でしたが、震災から復興する人々のニュースは、被災地以外に住む私たちをも元気付けられている事に、改めて思い当たりました。
どういう結末になるのか、本当に泣きながら心配していましたが、茶沢の導きは当たり前でとても正しいものでした。映画を観ているうちに、住田は私の「希望」にもなっていました。映画は彼らの心のように、夜や雨の場面が多かったですが、ラストは晴れていました。泥だらけの中で、一生懸命もがきながら見つけた自分たちの未来。茶沢に、やっと「ありがとう」と言えた住田。二人の未来は、「ありがとう」で満ちていますように。
01月16日(月)
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