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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ツレがうつになりまして。」
ここからは苦言です。良い味を出していたハルの両親ですが、何故幹男の親族は登場しないのでしょう?私の見落としがなければ、仏壇らしきものがちらっと写っただけ。あれでは見落とすでしょう。家は味のある古い家でしたが、これも幹男の正家なのでしょうか?「家族なんだから」とハルの母の言葉が出てきましたが、幹雄の実家は彼に取ってもっと家族でしょう。母の描写は、幹男を支えるハルにも支える人が必要だと言っているはず。ならば幹男の親族がいないのなら、ちゃんと明言すべきです。
講演場面での「出来ないさん」と「元上司」の描き方も謎。どうして強引に和解のような美談に持っていくの?人生には反発したまま、確執を持ったままということは、御万とあります。上記の事など、正直長い人生では苦味のあるスパイス程度の事で、大した事ではありません。私は原作は未読ですが、このエピソードはあったのでしょうか?あってももっと納得出来る描き方であった気がします。私が佐々部監督を苦手に感じる部分は、演出の引き算が下手なところで、過剰な美談に仕立てたい部分です。
このシーンはカットして、話が出来なかった犬塚弘と、寛解後には会話するシーンを入れるほうが、よっぽどインパクトがあります。その他、本当にうちのクリニックの患者じゃん!とびっくりの吹越満が、絶妙にやさぐれた鬱患者を演じていたのに、彼を生かしきっていません。対比の意味がわからない。その他は鬱の兆候を感じたら、医療機関に早く診察に行くことを、もっと強調して欲しかったですね。田山涼成の医師が、誠実で頼り甲斐のある良い医師を好演していただけに、もったいなかったです。
最近精神疾患が五大疾病に加わりました。鬱、その他の精神疾患は決して恥ずかしい病ではありません。信頼できる医師の元、必要な服薬とカウンセリングで、就業可能な患者さんもいらっしゃいます。この作品でも恥ずかしいことではないと認識する事、病識をしっかり持つことから、展開が変わって行った事を、是非見逃さないで欲しいのです。これから精神科を標榜するクリニックも増えていくでしょうから、おかしいかな?と思うときは、是非受診していただきたいです。まだまだ未熟な精神科勤務の私からのお願いです。
10月16日(日)
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