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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ツリー・オブ・ライフ」
常に夫を理解しようと努める妻も、たまには逆上し、夫に歯向かいます。よしよしと思った私ですが、えっ?これで終わりですか?の顛末。私なんか、このようなシチュエーション多数で、ブチっとキレてしまった時なんか、気が済むまで暴れたのになぁ。だいたい息子から「お母さんはお父さんに見下されているじゃないか」と、侮辱めいた暴言を吐かれて、ただ苦渋に満ちて見守るだけでどうする?下の毛も生えてないような年頃ですよ、見守るなんてもっと後、思春期くらいです。私はこんな時、「どの口がそんな生意気言うんや!」と、往復ビンタでしたもんです。観るなら我が家の方が面白いと感じる人も多いはず。

以上は私の個人的な違和感ですが、三男の扱いが雑。男兄弟はライバルになったり親密になったり、その葛藤も多いものですが、三人いれば誰かが潤滑油になるはずです。うちの場合は三男です。焦点は主に長男、次に次男で、三男はほとんどなし。三人兄弟にする意味がないです。

出演者は大変に良かったです。ブラピは中年の父親の鬱屈と、息子たちへの不器用な愛情を好演。チャスティンは大変豊かで気品溢れる演技で、すっかり魅了されました。人間的な大きさまで感じさせます。劇中のお洋服もみんな素敵で、それもポイント高し。子供たちは悪ガキめいた事をしでかしても気品を失わず、この両親の子だなと、充分感じさせてくれました。長男役の子の、怒れる眼差しも良かったです。ペンはそれほど印象に残っていません。

エンディングは大円団で、折しもただ今お盆で、この感覚は悪くないです。しかし美しいですが、徹頭徹尾淡々として辛気臭い作品です。ただ私に合わないだけで、気品も感じるし、こういうテイストを好む人の気持ちもわかります。だけど私のように映画館通いが仕事のような人間なら、それなりに作り手の言いたい事を感じようとしますが、映画を年に数本しか見ない人にとっては、何が言いたいのかさっぱりわからないと思います。

どう見ても、シネコンで拡大公開の作品じゃないでしょう?ミニシアター鉄板の作品です。だいたいカンヌでパルムドールって、だいたいがミニシアター公開ですよね?それがブラピ&ペン共演の家族ものだから拡大公開って、本当に配給元さん、映画観てるんですかね?PRの重要ポイントは、「監督、テレンス・マリック」だと思いますが。ちなみにネットを除く私の周囲で、マリックを知っている人はいません。

内容を紐解くのに重要なポイントで、キリスト教の教義が何度も出てきます。私は表層的にしかわからないので、この点はなんとも言及出来ません。深く反芻してみるのには、もってこいの作品です。しかし普通の映画ファン&たまに映画見る人には、そんな気にさせてくれないと思います。私は下世話な娯楽作が好きなのだと、つくづく思い知る作品となりました。テレンス・マリックの信者さんにだけ、お薦めします。

08月16日(火)
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