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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」
玉ねぎの力を借りなければ泣けない元妻。夫と息子の二代の依存症に苦しみ、非力な自分を人知れず責める母。ダメ男塚原を軸に、二人の女性の心の交流が清々しくて温かいです。特に私が感心したのは、母が由紀に向かって何度も感謝を表すも、謝罪めいた言葉がなかった事です。大の大人の息子ですもの、親が謝る事はないんです。でも親だから感謝はする。物事の区別がきちんとつく、由紀との相性の良さが感じられました。
苦手な浅野は、最近何だか出てくる度に、私の好感度はアップ。何考えてんだか、ダメなんだけど憎めない男の愛おしさがとてもよく出ていました。永作博美も、相変わらず好演。高田聖子は元々力のある女優さんですが、今回どこを切っても精神科の女医さんで、気さくながらも凛とした風情から、包容力と温かさが伝わってきました。一番素敵だったのは香山美子。力みなく肩の力を抜いて演じた母からは、「受け入れる」という言葉の崇高さを感じました。美人女優もすっかり熟年女性となりましたが、年齢相応の美しさは健在で、見習いたいと思います。
塚原の依存症を克服したい気持ちは、子供たちの元へ帰りたいと言う願いからです。父や夫としてではなく、ただ一緒にいたかったのです。恥も外聞もなくそう思える場所があるのは、どんなに有り難い事か、彼を観ていて痛感しました。「最後にちゃんと帰ってきました。いい男でした」の西原理恵子の言葉には、鴨志田穣の人生の全てが込められていたのですね。
12月12日(日)
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