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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ミレニアム2 火と戯れる女」&「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」
そしてリスベット。裁判の場面の気合いの入ったゴスメイクと特上パンクないでたちは、彼女にとって正装なのです。私は前作では自分の心を隠す仮面だと感じていましたが、「3」で法廷へ向かう彼女の堂々とした姿は、武士で言えば鎧兜なんだと思う。思えば、こんなに殴られ血みどろになるヒロインは、かつてなかったでしょう。彼女の過去が暴かれるにつれ、その並はずれた逞しい生命力と、自分を見失わなかった太い精神は、本当に見上げたものだと感じます。たった一人で生きてきた彼女が、何度も口に出そうとしてためらった、他者への「ありがとう」の言葉。この言葉が、ついに彼女から発せられた時、私の胸にも温かいものが広がりました。
彼女に「感謝している」と答えたミカエルですが、その感謝の心は、編集長で恋人のエリカの、「仕事に命を賭けるの?」だったと思います。脅迫され、明確に安全を選ぶエリカに対し、ミカエルの心は真逆だったはず。社会正義を市民に伝達することに命を賭けるのが、ジャーナリストの使命だと決心したのでしょう。それは重く辛いリスベットの過去が、ミカエルを奮い立たせたのだと思います。
しかしノオミ・ラパスは素晴らしい。作品中で何度も容姿をコケにされますが、この貧相な容姿からは想像がつかない、スケールの大きな女優さんです。ハリウッドで出演作も決まっているそうですが、すんごく楽しみです。女優の流れを変えるかもしれない逸材だと書いたら、褒めすぎかな?「2」を観ないと「3」の流れがわからないのが痛いですが、リスベットファンなら、やはり観ておきたい作品ではあります。
10月03日(日)
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