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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「プリンセスと魔法のキス」(字幕版)
紆余曲折を経て、どうなるか?ディズニーなのでハッピーエンドは間違いなしですが、そこへ行くまで主要キャラの哀しい死が待っています。しかしその昇華の仕方が素晴らしく、私は泣いてしまいました。黒人少女が主人公で有る点と共に、子供たちに現実を目の当たりにさせながらに、現実と共存しながらの夢も希望も忘れさせません。

現実と言えば、シャーロット。頑張る善良な黒人を描くと、白人のお金持ちキャラはとかく意地悪に描かれますが、シャーロットは常にティアナの良き友人です。大昔アーサー・ヘイリーの「ルーツ」がドラマ化された折、同じ様なシチュエーションの場面がありました。農場主の白人の娘と、主人公で奴隷のクンタ・キンテの娘キジー。幼い頃から共に育った二人は、大の仲良し。しかしキジーが同じ奴隷の黒人と愛し合い、逃げようとすると、白人の娘は密告するのです。奴隷たちから「あんないいご主人様はいない」と慕われていた農場主は、娘に「お前はそれで良かったのか?」と問います。娘は「当たり前よ。くろんぼうのくせに、私に逆らうからよ」。人格者ですが、規律は守る父親の落胆した顔を、私は今でも覚えています。キジーはペットで有っても、友人ではなかったのです。

このドラマから30年。当時は黒人の出演する映画は、黒人たちだけが観るため作られたものばかり。今では学校や会社で、当たり前のように黒人の同僚が描かれています。ティアナとシャーロットの自然体の友情は、「ルーツ」を覚えている私には、アメリカの現実は進歩しているんだと、とても感慨深いものでした。

リアリティを求めぬ2Dアニメの特性を生かして、動物たちと歌い踊るシーンや、魔法の場面も楽しいです。特にママ・オーディの魔法は、確かにプードゥー教なんですが、実写するとオドロオドロシイものが、とてもユーモラスで気に入りました。字幕版はティアナ役のアニカ・ノニ・ローズなど、実力派の歌声も本格的で、ミュージカル作品としても秀逸です。ちなみに友人が三歳の孫娘といっしょに吹替え版を観たそうですが、大変喜んでいたそう。春休み、お子さんたちと是非いっしょに楽しんで下さい。

03月22日(月)
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