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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「フィリップ、君を愛してる!」
これも母親に捨てられた、愛されなかったという自縛が、彼の心から終生離れなかったからでしょう。自信のなさはお金に換えて、お金と詐欺が、スティーブンの愛情表現だったのですね。本当に罪作りな親ですよ。あの手この手の詐欺の手口は一種爽快です。こんなに頭いいんなら、別で使えば真っ当にでもお金持ちになれるのに、とも思われるでしょうが、だから別モンなんですよ。詐欺を成功させる事が、スティーブンの自信回復なんだなと感じました。
「本当の君が知りたいんだ。僕には嘘をつかないでくれ」というフィリップ。でも本当の自分なんて、スティーブンにもわからない。真実なのは、フィリップを心から愛しているということだけです。それでいいんだと思う。愛は求め合い奪い合うものですが、私は一番大事だと思うのは、何があっても相手を丸ごと受け入れることだと思っています。だから「私を愛しているなら、××は止めて!」は、ちょっと違うんだよなぁとは、私もこの年になってようやくわかることです。
しかし別に爽やかでも大してイケメンでも渋くもない50前(キャリー)と40前のオッサン二人の純愛に、私は何度切なくて涙ぐんだことか。もうね、病院での二人の電話の会話なんてね、私は号泣しましたよ。しかしその後、目が点になる展開に。すっかり私も騙されちゃった。でも痛快だったです。
脱獄と詐欺を繰り返した本物のスティーブンは、現在禁固167年。殺人などない軽犯罪では、異例の重さの量刑です。23時間は監視付きの生活ですが、また脱獄してくれないかしら?と、不謹慎なこと考えているのは、私だけではありますまいて。
03月19日(金)
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