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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ずっとあなたを愛してる」
それは取り立てて衝撃的なものではなく、予想通りでした。理由よりも「子を殺した」、その罪深さの方が、ジュリエットには重要なのです。「子供の死は何よりも辛い」と語る彼女。ジュリエットが自死を選ばなかったのは、罰を受けたかったからなのでしょう。彼女が当時の職業でなければ、私は息子を殺さなかったと思います。自分の全てを投げ打っても息子が救えないと思った時の絶望感は、如何ばかりだったかと思うのです。使命よりも哀しい感情が溢れるのは、「母なる証明」であるように、私には思えてなりません。
トーマスが素晴らしい。最後の最後に感情を爆発させるまで、ほとんど無表情か、曖昧な笑みを浮かべるだけなのに、空っぽのジュリエットの心が、少しずつ満たされる様子が、手に取るように伝わってきます。渾身の演技で、ジュリエットの厳しさを表現していました。彼女のベストアクトではないでしょうか?ジルベルスタインも、年の離れた妹が必死に姉を思う姿を、喜怒哀楽も愛らしく見える様な演技で、とても好感が持てました。二人のアンサンブルがとても良かったです。
子供を殺した母は、幸せになって良いのか?「私はここにいるわ」。15年苦しみ彷徨っていたジュリエットが、自分の居場所を見つけた今、それを決めるのは私たちでは無く、ジュリエット自身なのだと思います。「ずっとあなたを愛してる」のは、レアの姉への愛、ジュリエットの亡くした息子への愛、そして家族一人一人への思いなのです。家族とは血のつながりのあるなしではなく、どれだけ関わったか、どれだけ愛した記憶があるか、それが如何に長い人生において、生きる力になるかということが、力強く描かれた作品です。
02月04日(木)
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