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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ひだるか」
申し訳ないですが、いちいち語り口が拙いなと感じながら、ヒロインに感情移入出来ないまま、核心の三池三井争議に作品は突入。しかし残念ながら、私にはこの争議が如何に大変なものであったか、理解出来ませんでした。この描き方は争議の内容が頭に入った人には心に響くかもしれませんが、私はこの争議については予備知識がありません。ここは時間を割いて、争議の様子、それを支える家族の様子を回想シーンも交えながら、丹念に描く方が良かったと思います。時間の関係なら、前半を半分カットしてもお話は成立するはずです。

それとセリフの一つ一つに、言霊というか、あまり感情がこもっていないのが気にかかりました。気の利いたセリフがあるかどうか、これは作品の印象を左右します。

極めつけは、自分の担当する番組の本番中で、勝手に番組に全く関係ない労組内での内情を発言をするヒロインにまた絶句。番組は彼女一人のものではなく、たくさんの人の手がかかって作られているはず。こんな勝手が許されて良いわけはありません。第一私がイチ視聴者なら、ヒロインに反感を持つ行動です。これが正当化されて描かれている点が、気になります。ヒロインは、アレコレ時間をかけて自分を探しをしながら、いったいどこが成長したのか、私にはわかりませんでした。父親との確執は解けたかも知れませんが、それはあくまでプライベートの話。仕事面の成長があれでは、幼すぎます。上司から同僚深町に乗り換えるシーンも不必要。今彼・元彼・未来彼。男なしじゃ、いられないの?

全体に観客に向けてというより、どの描写も作り手の自己完結が過ぎて、観客は置いてけぼりと感じ、不満の残る内容でした。しかし有名どころのキャストは上記以外に、佐藤充、沢田亜矢子など、自主上映の作品としては豪華といえ、これは監督の人徳のあらわれでもあるのでしょう。次回作は是非その人徳が生かされる作品でありますよう、祈っていますので、頑張って下さい。応援しています。

10月24日(土)
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