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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「路上のソリスト」
ロペスが保護地で浮いていたのは、懐に飛び込んだのではなく、彼らを観察していたからでしょう。ナサニエルに対しても、「保護者」からは逃げ、耳触りの良い「友情」の名で彼を引き上げようとしていました。友情とは対等です。相手の全てを受け入れること、傾聴すること、尊重すること。友情とは愛なんだなぁ、と強く感じました。一般的な弱者に対しては、表面に囚われ、どうしても難しいですが、ナサニエルのような特別の天分を持つ人を主人公に据えたお陰で、私はすんなりと納得出来ました。

それにしてもロバートの快進撃は本当にすごい。元々演技巧者ですが、薬物中毒から這い上がって以降、演技に大らかな豊かさが加わったように感じるのです。中年期に入り渋さと愛嬌を併せ持ち、とっても大事な男としてのゴージャスさも満開。ライバルはジョージ・クルーニーかな?私は断然ロバート派!

劇中、クラシック演奏をグラフィックで色を感じさせる場面が出てきます。私が中学生の時の音楽の時間、ヴィバルディの「四季」の中のヴァイオリン協奏曲「春」を聞いて、感想を書くという課題が出ました。「イエローやブルーなどの、明るいパステルカラーが見える」と書いた私の感想に、先生は「クラシックを聞いて色が見えるのですね。なんて素敵な!」と、線を引いて5重丸下さいました。あの時先生は音楽に携わる者として、単純に私の感想に感激してくれたのでしょう。そこには子弟ではなく、同じ目線に立った共感があったはずです。その喜びが伝わり、今でも私も覚えているんでしょうね。この作品のエンディングは、正にその大切さを表していました。

06月05日(金)
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