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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ブラインドネス」
どうしてこんな感染病が蔓延したのか?教会の様子が出てきますが、今の世の中を憂いた神が、鉄槌を下したように私は感じました。それは決してアメリカだからではありません。日本人夫婦は自分たちだけの会話の時は、日本語でした。アメリカ映画は舞台がどの国でどの人種を描こうと、登場人物には英語を喋らせます。これは意図的に日本語を話させたと思いました。白人黒人のみならず、日本人、ラテン系などあらゆる年齢層の人種を登場させたのは、舞台はアメリカでも「世界」を表現していると感じました。
その様々な層が一つの家族のようになっていく時、それは小国が手を繋ぎ協力し合い、絆を深めているように見えました。そして「自分は本当に大切なものが見えていなかったのかもしれない」というセリフの後に起こる事。これがずっと目が見え続けたムーアの理由だと思いました。
強い慈悲深さと勇気を持ちながら、決して彼女は自分が救世主だとは誤解しません。これが目が見え続けるという彼女だけの試練が与えられた理由かと思いました。人は世界は、支え合い支えられて生きていくもの。一人一人が自覚しなければならないことです。歴史に名だたる独裁者は、その登場時、民衆から救世主扱いされました。しかしその末路はことごとく悲惨なものです。救世主などはいない。人間は人間でしかないのです。たった独り目の見えるムーアの存在を描く事で、そう強調したかったかのかと、私は感じます。
寓話と言うには強烈で壮大なお話ですが、誰もが心に留めて置かねばならない、普遍的な教訓を描いた作品だと思います。最後に監督メイレレスも素晴らしいですが、ジュリアン・ムーアの素晴らしい事よ。私より一つ年上で、この年齢になると、なかなか主演作は来なくなるものですが、その演技力と皺も美しく見える美貌で、まだまだ主演を張る彼女。ナチュラルで良い年齢を重ねる彼女を、私もお手本にしたいと思います。時々謎の作品選びもありますが、それもご愛敬ということで。完璧な人だと面白くないもんね。
11月27日(木)
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