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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「コドモのコドモ」
未成熟な子供の子宮では、あれくらい胎児が成長出来るかどうか、疑問です。高年齢出産のマル高をご存じの方は多いでしょうか、18歳以下の妊婦もまたマル若と母子手帳につけられるはずです。いわば若年で出産するということは、それだけでハイリスク妊婦です。春菜の場合も普通分娩もあり得ません。ちょっと生々しいお話で申し訳ありませんが、会陰が裂けたり、途中で子供が出なくなるなど、とんでもなくハイリスクです。
検診にお金がかかるからと、陣痛が始まって初めて病院に駆け込む妊婦もいると聞きます。これを観て、お産がこんなにお手軽に出来ると若い人が誤った認識を持ってしまうのじゃないかと、私はそこを危惧します。いくらファンタジーとして見ろと言われても、「お産は命がけ」を経験している私としたら、単に子供の団結力や純粋さを表現する手段として、断じてお手軽なお産を使って欲しくはないのです。
あの出産シーン、胎盤は出してなかったですね。私は次男の時胎盤が出てこなくて、医師の手で剥離してもらったのですが、大量出血で死にかけました。どうやっても胎盤が出ないときは、最悪子宮ごと摘出になるなど、大変なことなのです。どうしても小学生に出産させたかったら、警鐘を鳴らすためにも、そういうお産につきものの、諸々の大変な描写も取り入れるべきです。
ラストのハッピームード満開なお誕生日パーティーもなぁ。反省もなければ葛藤もなし。先行きの明るい未来だけを予感させる結末です。これは小5女子の出産は素敵なことよ、という結論ですか?春菜の両親は驚きだけでケンカするでもなく、ヒロユキの両親も逃げるように東京に引っ越ししたのに、誕生日には「お祖父ちゃんと父親」が明るく参加。なんかもぉーバカバカしくて。生命の尊さを描くには、あまりに描写が軽すぎます。
子供の日常生活もある意味イイとこどり、妊娠出産に関してもほわんほわんと描き、私的には何を言いたくて作った作品かは理解しかねました。学級崩壊の様子だけは、非常にリアル。先生が頭でっかちで子供の気持ちを考えず、自分の主義を押し通そうとすると、こうなるんですね。集会での親の非常識さを表しているのも、良かったです。何故なら先生だって、最初から良い先生になるわけではありません。先生を育てるのは親と子供です。親がこういう態度なら、どこまで行っても平行線だなと、つくづく感じました。子供たちに春菜のお産の様子を語らせた八木先生が、「あなたたち、本当に頑張ったね・・・」と、涙した場面が、私には一番印象深い作品でした。八木先生、この事件を糧に、いい先生になりますよ。こっちをメインに作れば良かったのに。
10月29日(水)
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