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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「サウスバウンド」
実際幼稚だったのでしょう。移住するには無計画過ぎて、色々揉め事が起こります。自分の生まれ育った土地を大切に守りたい気持ちはわかりますが、あの描き方では無理がある気がします。ここでも土地を買収する人たちや法律を、体制側=悪と決め付けて描いているので、ここも違和感を増大させます。何でもかんでも体制側が悪じゃなぁ。西表島の風景は美しく、島の人々はみんな優しく、生活はのどかで心が洗われる様ですが、どうもいいとこばっかし映して、生の生活感がありません。島での上原一家の生活ぶりが上滑りなので、そこで一生暮らしていくという気概より、都会の生活に疲れた人が一時癒しに来ているように感じてなりませんでした。

そしてオチで決定的に私は大噴火。以下ネタバレ(ネタバレ以降にも開けて文章ありなので、読んでね)














子供を置いて夫婦で逃亡するって、あれは何?ちょっとの間だけ我慢してまた闘争すればいいじゃん。父ちゃんだけ逃げれば?母ちゃんは子供たちと残って、「後のことは任せて」ならば私はこんなに怒ったりしません。むしろそれが内助の功ってもんでしょ?それとも牢屋の中から闘争する方が、もっと子供に自分たちの生き様が見せられるじゃん?その方がカッコイイよ。何も全て社会制度に迎合することが良いわけじゃないし、こんな不器用に自分のスタンスを貫く人がいても全然かまわないと思います。しかしこんなに軽やかにファンタジーっぽく、子育て放棄を肯定的に描くことには、私は納得出来ません。結局この夫婦は、一見ポリシーがあるようで、中身なく反社会的に生きることだけが目的だったように感じました。学生運動に身を投じていた人たちは、結局この二人のようなもんだったんだなと観客に思われたら、かつて本当に国を憂いて闘っていた人たちが浮かばれません。















ネタばれ終わり。

主要人物は総じて良かったですが、子役の素人臭さはまぁ見過ごすとして、西表での現地の人々は、学芸会以下の演技でびっくり。何故普通の役者をつかわなかったのか疑問です。ここは本当の現地の人に拘らなくても全然大丈夫だと思いました。

他の役者は総じて好演。トヨエツは破天荒な父ちゃんをチャーミングに演じていました。元々土着の大阪人ですから、こういう演技をするのは好きなんでしょうね。「いらっしゃ〜い♪」の間合いは良かったなぁ。彼は同世代なのですが、子供の頃はきっと毎週吉本新喜劇見ていたはずです。天海祐希は普通の奥さんが案外似合う人で、イメージよりずっと器用な人だと思います。田辺君は現在は下手ですが(!)、ルックスを含めてなかなか将来性はありとみた。桃子役の梨菜ちゃんはほんとに笑顔が可愛くて、この子の愛らしさと、巧みに沖縄の方言のイントネーションを使いこなす警官役の、松山コウイチの気弱な好青年ぶりが出色でした。後はお姉ちゃんか。彼女は印象に残っていません。普通でした。

私的にネタバレ部分でぶち壊された作品でした。それが気にならない方は、緩いコメディとして、それなりに楽しめるのではないかと思います。

10月09日(火)
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