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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「女囚さそり 第41雑居房」(レンタルビデオ)
女囚をレイプした男達を丸裸にしていたぶり、恐れる目で彼女たちを見るバスジャックの観光客女性に、「私たちは自分と違う世界の人間だと思ってんだろう!」と罵声を浴びせる女囚たち。きっと観光客は私たちなんでしょう。扇情的に女囚たちのどうしようもないほどの凶暴さ、あばずれぶりを描きながら、ありえない看守たちの横暴さを描きながら、その奥にある哀しさにも目を向け、一歩間違えれば誰にでもある転落を感じさせます。だからこその受刑者の人権にも思いを馳せて欲しいとの、作り手の思惑も感じました(深読みか?)。そう思うと、渡辺文雄も戸浦六宏も、出身大学でキャストしたのかと、これまた思ってしまいます(多分勘違い)。

「何でこんな綺麗な人が、この映画に出てたん?」との息子の言葉が、梶芽衣子にナミをやらせた理由でしょう。ただのエログロバイオレンスではなく、その奥にある真実を観客に見つけてもらうには、梶芽衣子の強くて気高い美しさが必要だったんだと思います。いたぶられても陵辱されても、人としての誇りを失わない輝きも。何と実のある質問。偉いぞ、息子!

ラストお約束の復讐場面では、また息子が「すごいな。あんなに刺して返り血も浴びてないなんて。」とゲラゲラ。そう、この作品は事実なんて何にも描いていないのね。大切なのはエログロに包まれた奥の、真実を感じることなんだと思います。

「この人、この後どんな映画に出たん?」と息子を心配させた梶芽衣子。普通の作品にもたくさん出て、大女優になったよと言うと、安堵していました。私の屁理屈なんか置いておいても、SM好きさんにはご満足いただけるシーンも満載、30年前から白石加代子は白石加代子だったんだなぁと、感慨深いもんもある作品です。荒野を逃亡する女囚たちは、囚人服の上にマントを羽織っていることもあって、ちょいマカロニウェスタン風でカッコ良く、三作観てこの作品が一番好きです。

05月22日(火)
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