ID:10442
ケイケイの映画日記
by ケイケイ
[928247hit]
■「大奥」
高島礼子は魑魅魍魎感が出ていて、かなり良かったです。惜しむらくは天英院は天子様の血筋のはず。そういう品には欠けていました。天英院派のお中廊・宮路の杉田かおるも良かったです。男に体をあずける天英院を蔑むような、嫉妬のような目で見つめる顔、生島を誘ったものの、トウのいった生娘(のはず)の、恥じらいではなく恐れが拒んでしまう様など、やっぱり上手い人なんだと感心しました。もうヨゴレ芸人のようなバラエティーには、出ない方がいいと思います。
と、中身の薄さを出演者の好演で補い、それでも足りないと思ったのか、藤田まこと、浅野ゆう子、柳葉敏郎、竹中直人なんかもちょっと顔を出しています。それでも大奥という華やかな場所を舞台にして入る割には、豪華絢爛のムードも小粒でした。やっぱり今は時代劇を演じられる人は少ないのですね、ちいさ〜くまとまっていました。
さて私が激怒した部分です。月光院がしばらく間部に会えず、煩悩の塊となり、床に伏してしまいます。何とも頼りない母親ですが、幼少の上様が見舞いに来ると、「あきさま、あきさま」と、うわ言で間部の名を呼び、側にいる我が子の名など、一言もなし。当然これは月光院のバカ母ぶりを表し、上様の孤独を描写していると私は感じました。が!次のシーンで何と絵島は、間部に「どうぞ月光院様をお見舞い下さい」と懇願していました。「それはならん」と言う間部に、今度は上様が「母上を見舞うてくれ。母上はそなたに一番会いたいのじゃ」という健気な言葉が出るに至り、私は口あんぐり。結果月光院を見舞った間部はそこでおしと寝、果たして生死を彷徨っていたかのような月光院は、見事ご快癒。
えぇぇぇぇぇぇ!!!!
一発やったら、ビョーキが治ったってぇ?はしたない表現で申し訳ないですが、何じゃこりゃ?、あんたセックス中毒ですか?と私は怒り心頭。女の煩悩でも何でも、好きにしてりゃあいいですが、子供を産んだら最後、ある程度子供が大きくなるまでは、母親は女より母親を優先するのが当たり前のはず。心細いのはね、月光院だけじゃありません。先君である父を早くに亡くし、帝王学も受け継げず、辛く寂しいのは上様とて同じ。まず自分の寂しさより息子の気持ち優先ではないかい?それを男旱で精気のない母親に、せっせとエッチのお膳立てをし、あろうことか、幼い息子もそれに加担させ、母の性の煩悩に理解を示すような脚本は、私は絶対認めません!
昨今幼児虐待がマスコミを賑わしていますが、私が一番腹だたしく思うのは、内縁の夫と称する者が、幼い子を虐待することです。どうして我が子を痛めつける男といっしょに居るわけ?断じてこれを女の性の哀しさなどど言ってもらいたくないし、理解したくもないです。今回の月光院の描写は、そんな風潮をなぞって肯定しているようにも感じ、私は猛烈に不愉快でした。
あー、すっとした!正月早々吠えてみました。
なんかまとまりない初回ですが、色々小粒で薄いですが、観るに耐えない作品ではなく、まぁそれなりでした。
01月05日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る