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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「イカとクジラ」
ダニエルズは、若い時はなんていうことのない俳優でしたが、この作品のパパは秀逸。ジェフ・ブリッジスみたいでした(褒めている)。演技派リニーは私が今一番好きな女優ですが、ほとんどノーメイクで崩壊家庭の主婦をさりげなく熱演。家族の修復を懇願する夫に対して、家庭とは妻と子供が二個イチであるのが当然と思っている夫と、夫と子供は別モノだと思う妻との深い溝を、一瞬の爆笑とその後の様子で表現でしていて、震えが来ました。

息子達二人も好感度大。実は弟の方が世間に長けて大人な兄弟なのですが、父の影響を受け頭でっかちで繊細、本当は誰よりママが好きな兄をアイゼンバーグが好演しています。弟を演じるクラインは、あのケビンク・ラインとフィービー・ケイツの息子です。ビール飲んだり奇行に走り、ちょっと変態っぽいこともするのですが、本当に可愛くて、まだまだ子供なのだと観ていて愛しさが募ります。

子供にとって親とはある年齢まで、何でも出来て守ってくれて、自分の世界の中心にデンと座っているものです。その絶対的だった親の弱さを見たり、バカさ加減を知る時、子供は幻滅した後、寂しく悲しく落胆するものです。そしてその時がお互い親離れ子離れの時なのです。父との別居の際母の頼りなさと世間知らずの数々を思い知った私は、何故こんなに頼りない自分を知らず子供を巻き込んだのかと憤慨した後、こんな頼りないのに、一生懸命私と妹を育てるのは、どんなに心細かったことだろうと受けいれた時が、私の本当の親離れでした。ラスト、母と観た「イカとクジラ」を食い入るように見つめるウォルターは、子供を振り回しながら依存する親たちの愛だけを受け入れ、きっと親を乗り越えていくことでしょう。

12月05日(火)
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