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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「トンマッコルへようこそ」
朝鮮戦争というのは、韓国側から語ればいきなり北朝鮮が攻めてきたのが始まりで、北朝鮮では逆に言われています。この作品は韓国映画なので、あっさり北朝鮮の兵士が、韓国説を認めるのがご愛嬌。なんだか南北連合軍VSアメリカ軍の戦いの図式に見えるのが、ちょっと違うんじゃないの?と思わせますが、ここで重要なのがスミスの存在。彼も5人の韓国・北朝鮮の兵士たちと行動を共にします。悪いのは国の政治であり、アメリカ人ではないということ。単にアメリカ軍批判とだけ観ている方が多いようですが、トンマッコルの将来を託されたのは、スミスです。南北統一がなかなか進まぬ現在、トンマッコルを朝鮮半島と見れば、アメリカの存在は大きいと、私は取りました。

朝鮮戦争は、皆さんはどのように学校で教えてもらったのでしょうか?私は普通の日本の女子校に通っていましたが、「朝鮮戦争のおかげで日本は軍需特用に沸いた。日本の復興に一役かったのは朝鮮戦争だ」と教えてもらいました。8歳上の夫も日本の男子校ですが、同じように教えてもらっています。もちろん私は、このことをどうのこうの言うつもりはありません。その時先生が言いたかったこと、私が言いたいのは、その数年前まで戦争で苦しめられていた国が、他国の戦争のお陰で潤い、復興するという皮肉なことがあるのです。このことは「ロード・オブ・ウォー」でも描かれています。

トンマッコルを象徴するような無垢な少女ヨイル役で、絶品の愛らしさを見せたカン・ヘジョン。彼女は少し知的障害があり、「バカ」と言われると哀しい顔をします。私は彼女の哀しそうな顔を観る度、「フォレスト・ガンプ」のガンプが思い起こされました。「ババ(黒人の同僚)と僕には、言われていやな言葉がある。ババはクロンボ、ボクはバカ」。

映画をたくさん観ていると、あちこち点と点であった事柄が、一気に線に繋がる時があります。ちょうどこの、ファンタジー仕立てで反戦を描いていた作品のように。ある日突然、あの映画はこういうことが言いたかったのかと、全く別の作品で理解出来ることもあります。ただの教養や知識で終わらせず、映画を観て何かを感じ、感受性を刺激されたら、自分の人生にどのように生かせるか、そうありたいと思い私は映画を観ています。どうぞ皆さん、たくさん映画を観てくださいね。

11月13日(月)
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