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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「男たちの大和/YAMATO」
キャストは新兵たちに慕われ二兵曹の内田の若き日に中村獅童と、森脇に反町隆。二人とも好演でしたが、私は自然体で当時の男性の厳しさと強さを感じさせた反町の方に好感を持ちました。松嶋奈々子の夫で終わるのかと思っていましたが、大丈夫みたいです。他は神尾の若い日を演じた松山ケンイチを初め、新兵役の少年達がとても清々しく、今時の若者が演じている風には思えませんでした。連帯責任というと軍国主義の最もたる物のように思われますが、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」の言葉が、彼らの連帯感から強く伝わります。神尾の恋人役の蒼井優は本当に可愛く、当時のやぼったい衣装が、彼女の素朴な魅力を一層引き立て、戦争映画の一厘の花にはぴったりでした。

タイトルに「男たちの〜」とついているにしては、「男臭い」という感じではなく、少年達の心の弱さ、涙を演出することで、やがて内田や森脇のような人の気持ちを思いやれ、仲間を大切にする強い男性に成長するのだと、私には思えました。

内田の娘は、彼が生き残ったのち次々と身寄りのない孤児を引き取って育てた養女でした。これは血のつながりで過去を振り返らず、観る者は内田の娘の目線で物語を観て欲しいという意図かと思いました。船の助手にも15歳の少年が乗り込んでいて、一部始終お話を聞いていました。老いた神尾の代わりに、面舵をとる彼の姿に、作り手の未来への気持ちが込められていたことでしょう。

01月05日(木)
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