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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ダーク・ウォーター」
ラスト、ホラーにしてはとても切ない展開で幕切れますが、「あなたは私の命より大事」。そう語ったダリアの言葉が思い出されます。自分のキャパ以上の頑張りを見せてきた彼女が、娘のために出来る最大のことだったのでしょう。一般的なホラーの怖さはありませんが、心理的な疲れのような感覚がありました。古く貧しさを体現している町並みやアパートは、私は不気味さより取り残された哀しさを感じ、見捨てられたダリアの心のようでした。ジェニファー・コネリーは子供のため強くなりたいと願う母親を、繊細な演技でとても好演。そして大変美しいです。白人には珍しい黒髪黒い瞳が清楚さの中の力強さを感じさせます。セシー役のアリエル・ゲイドはとんでもなく可愛い!顔もジェニファーに似ており、こまっしゃくれたところのない愛らしさでした。

監督はブラジルのウォルター・サレス。雨や水のシーンが多く湿った雰囲気が全体的に漂いますが、それはダリアの気持ちを表していたのでしょうか、涙のように感じました。監督のこの作品の捕らえ方は、ホラーではなく母の愛であったと思います。

さて私の母親が私と妹に最後に残した言葉は、「あんたらの苦や悲しみは、お母ちゃんがみんな向こうへ持って行くから。」というもの。お母ちゃんは嘘つきやなと、妹とよく話しますが、家族が全員元気で毎日を過ごせ、私がこうして機嫌よく映画日記を書けるのも、実は亡くなった母が守ってくれているからかも知れない、そう思った作品でした。

11月14日(月)
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