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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「花と蛇2/パリ 静子」(ちょっと18禁モード)
劇場いっぱいのおっちゃんたちの共感を一心に浴びたのは宍戸錠でしょう。現在71歳だそうですが、とてもダンディで素敵。今でも若い美女をはべらせても、なんら問題なさそうなそんな彼でも、老いは平等に忍び寄り、役に立たない我が身の代わりに、池山をあてがって妻のあえぎ悦ぶ姿を観たり、Mの素養ありと踏んだ妻をよそ様で調教してもらったりと、とても自虐的です。ほとんど精神的Mの感じがしますが、妻が肉体の極限までいたぶられているので、自分もズタズタの心で耐えようとしているのだと思いました。取りあえずの夫婦は運命共同体です。この心が静子にはちゃんと伝わっての、ラストの彼女の選択だったと思います。鈴木清順の「肉体の門」では、百戦錬磨のパンちゃんたちを虜にしたエースの錠をキャスティングしたのは、映画の説明不足をグーンと補い大成功だったと思います。

しかしこの心の底には、男性の「男根至上主義」みたいなのがあるんじゃないでしょうか?おのがイチモツで愛した女を悦ばせられなくば男にあらず、みたいな呪縛が。これは私は誤解と思うんですけどねー。年が行き性的に枯れていくのは当たり前の話で、それを手をつないだり抱き合って眠ったりで、スキンシップでセクシャルな気持ちを安定させることは可能だと思います。年の離れた夫を選ぶ妻は、経済力だったり愛というより敬愛の念で夫を選んだはずだし、底に眠っている淫乱にも、寝た子を起こさなくてもいいじゃないかと思いました。それとも妻や恋人を性的に自分好みにしたいのは、どうにもならない男性の性(さが)なんでしょうか?

性の深い河に漂流するお話になるはずが、やりすぎでどうもエロくありませんでした。杉本彩の屋上の裸踊りをカットし、遠藤憲一との色んな体位見せまくりのファックシーンを1/3に減らし、オークション会場でのこれでもかのSMシーンを大幅にカットして、物語を描きこめば、ただのポルノではなく上質の官能作品になったかと思います。チラッと見せる方が絶対エロいです。石井隆なら出来ると思うのですが。叩かれまくる監督ですが、これは監督の意向より、「杉本彩の花と蛇」で売りたい製作サイドの意向が強かったんじゃないでしょうか?

それにしても、人の好奇の目にさらされて、「愛のコリーダ」の松田瑛子は精神を病んだと聞きました。対照的に藤竜也は以降人気実力ともうなぎ上り。あの作品の藤竜也は絶品の男ぶりでしたが、俳優としての素養以前に、性に対する男女の有り方の厳しい目が、二人の俳優の行く末に絡んだと私は思います。本番こそありませんが、それ以上のことを演じている杉本彩が、このシリーズ以降また売れっ子になったことに、本当に時代も変わったのだなぁと、43歳の私は感慨深いのでした。

05月20日(金)
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