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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「Ray レイ」
しかし、私がそう思うと必ずフラッシュバックで、幼いレイと母アレサが出てきます。母の厳しく哀しく寂しい顔は、レイの背負ったもの全てを表しているようで、私の胸を締め付けます。盲目であっても黒人であっても、希望を忘れず必ず貧しさから抜け出すよう、幼いレイを叱咤激励した母。ヤクと縁の切れないレイに、「私よりも子供よりも、ヤクよりも他の女と寝るよりも、あなたには大切なものがあるでしょう?ヤクのためにそれを捨ててもいいの?」と詰め寄る妻デラ・リーが、母アレサに重なりました。夫には自分より大切な物があると認めるのは、妻としてとても辛いことです。平凡な人にとっては、家庭であればこそ唯一無二の存在ですが、レイのように大衆に愛された人は、社会でも唯一無二の存在です。彼に音楽家としての人生をまっとうさせようとした妻の心は、盲目のレイが転んで泣き叫んでも、彼が自力で起きるまで、自分も身を切られるような辛さで耐えた母と同じです。後
年再起したレイの傍らで、「お義母さんに(あなたを)見て欲しかった」とつぶやくデラ・リーに、レイを生涯で一番愛した二人の女性の、時間を越えた絆を見たようで、胸が熱くなりました。
ゴキゲンなレイ・チャールズの曲が最後までノリよく流れ、思わずリズムを何度か刻みました。R&Bとは、黒人の持って生まれた素養と、アメリカの文化がはぐくんだ音楽で、決してアフリカでは生れなかったろうなぁと、演奏やダンスする黒人の人たちを見て思いました。評判のジェイミー・フォックスは、確かにすごい!曲は吹替えでレイ本人ですが、言われなければ彼が歌っているようで、全然違和感ないです。歩き方首の振り方なども、盲目の人のそれで、当分ハリウッドを席巻する存在になると感じました。オスカーの作品賞としては少々物足らないでもないですが、主演男優賞は、文句なくジェイミーにあげたい気分です。
02月07日(月)
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