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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ブレッド&ローズ」(ムービープラス)
とばっちりを受けたルーベンが解雇され、大学の入学金が払えなくなります。そのため盗んだお金を彼に差し出すマヤ。知らないルーベンは喜んで受け取り、同胞のために力になれるよう、立派に学ぶと約束します。が、私は納得出来ず。気持ちはわかりますが、盗みはいかんだろう。汚い出所でも綺麗に使えば良いといいますが、やっぱりこれはダメ。ずっと引きずって観ていたら、デモに参加して逮捕されたマヤは、指紋から盗みが発覚しメキシコへ強制退去となります。それと同時に、会社から労働者側に権利を与えるという連絡が入ります。そうくるかーと、唸るような筋運びです。

別れ際マヤを見送る同僚達が、自分のしたことに引け目を感じているローサに声をかける暖かさが良いです。台風娘のようにアメリカに来て、我慢するしかなかった同じ境遇の人の心に火をつけたマヤ。二度アメリカに来られなくなった彼女も、束の間の滞在で、きっと人生で指針になるようなものを持ち帰ったはず。イギリス人のケーン・ローチが、他国アメリカの労働者階級の苦境を、鋭いですが辛らつではなく、温かい目で見守った後口の良い爽やかな作品でした。他人から見た自分と、自分から見た自分は温度差があるものです。ローチは他国の問題点を描いて、不躾さと土足感がなく、とても好感を持ちました。サム役で、「戦場のピアニスト」の前のエイドリアン・ブロディが扮し、無精ひげで愛嬌があり、飄々としたサムを好演していました。

01月12日(水)
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