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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「砂と霧の家」
出演者は総じて好演。特にジェニファー・コネリーは、ホームレスまがいになっても透明感を失わず、大変美しいです。保安官レスターが妻と上手くいかなくて、離婚を切り出そうか迷っている時に出会ったキャシーに、今までの自分を見失ってしまうのも納得でした。少々強引なレスターの造詣ですが、ジェニファーの好演で説得力が出ました。
キャシーが頼る保安官・レスターに至るまで、心の弱さ・悪意が感じられますが、みな寂しく心優しいものです。何故ならそれらは欲得ではなく、底には自分の愛する者(物)を命懸けで守りたい、そう願う心が透けて見えるから他なりません。完全な人などいるわけがなく、彼らの弱さは自分にも当てはまると感じる人は多いのではないでしょうか?
元々善良な部類であった人たちです。少しずつ和解の道が開かれようとしていたときに、最大の悲劇が訪れます。その時のベラーニの行動に、「本当に大切なのは家庭」の気持ちが溢れ、涙が出ました。救いようのないお話に見えますが、最後に「ここはあなたの家ですか?」と聞かれたキャシーの答えは、放心しつつも依存心の強かった彼女が、新しい心の拠りどころを見つけようと決心したように、私には思いたいです。たとえこの解釈が間違いでも、私はこの物語を悲劇では終わらせたくありません。「大切なのは、家ではなく家庭」。子供の前で醜態をさらし、親に憎しみに似た気持ちを抱いたこともある私ですが、人生で一番大切なこのことを、私に身を持って教えてくた両親です。皮肉ではなく、この人たちの間に生まれて良かったと、今はそう思っています。
11月15日(月)
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