ID:104303
暴かれた真光日本語版
by 日記作者
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■039 pseudoscience
文政二年平田篤胤著。平田篤胤全集所収。本書は伴信友の「假字本末」の所説を反駁する爲に著したもので、漢字渡來以前に日本に文字のあつた事を證明し、又その文字(日文)を考證し解説したものであって、或は日文に於ける真體草體の別、或は朝鮮の諺文は日文から轉生したものである事等を述べて居る。附録には神代文字と言はれてゐるもので疑はしいもの三十餘種を掲げてゐる。この篤胤の神代文字存在説も「假字本末」出現以來學界はその非存在説に傾き、今日では非存在説を以て定説と見做すに至ったので、全く顧られなくなった。
假字本末 上下二巻附録一巻四冊
伴信友著。嘉永三年刊行。伴信友全集所収。上巻二冊は草假名の研究で下巻は片假名。附録は神代文字の研究である。草假名の起原・沿革について漢字渡來以後我國では漢文で用を辨じてゐたが祝詞宣命等次第に漢文のみでは不都合を生じその音を借り或は訓を以て言葉を表はす様になり、扨その文字も楷書でのみ書くは煩雜なる故遂に草假名の發達を見たものと思はれる。而して弘法大師に至って初めて字體も一定して伊呂波四十七文字に整理されたのである由を述べてゐる。附録に伊呂波歌は弘法大師の作なる事、和讃・今様・巡禮歌の沿革を記して居る。下巻の片徴名の研究に於いては片假名は悉曇の音圖に準じて天平勝寶年中に吉備眞備が作ったものであらうと云って「倭片假名反切義解」の説を認めてゐる。次の附録一卷は「神字日文傳」を反駁して神代文字を否定したものである。本書は當時に於ける考證學の第一人者信友の代表的著作であり全體的に今日も猶十分尊敬に値するものである。殊に當時の熱狂的な自國尊重思想に災されずその考證的立場に於いて穏健確實な説を以って神代文字非存在説を主張した事は彼の卓見であって、この否定論に對して松浦道輔は「假名本末辨妄」を以って、篤胤は「古史本辭經」に於いて駁論を掲げてゐるが明治以後の學界は信友の否定説を定説としてゐるのを以て見ても彼の所説の如何は窺はれる。
日本古代文字考 二巻二冊
落合直澄著。明治二十一年出版。神代文字存在論は平田篤胤以來頗る多く、殊に國學著神道家はその思想的立場から多くこれに賛成してゐた。本書も亦その類で、神字日文傳を根據とし、これにその後の諸家の研究を參酌し、自家の説を加へて篤胤の説を増訂したものであって、神代文字存在説を集大成したものである。然るにその研究は學界を首肯せしめるに足らざるのみならす、爾後學界は新研究法によって五十音或は伊呂波の研究を進めて神代文字非存在説に逹した爲この存在論を継承する學者が後を斷った。
【參考】
「日本神字文考」「假名赴起源考」その他數部落合眞澄の著にして神代文字に關する研究がある。
私はとくに大学で国文学や国史を学んだわけではない。それでも、ネットで下調べをし、公立図書館で文献を閲覧し、このようなレポートが書けたほどである。国文科の学生のレポートぐらいのレベルには到達していると自負している。私からの問題提起に対し、大学で神道考古学を専攻した岡D晃Y氏から責任ある回答をいただきたい。自らの主張に対して裏付けのある学問的資料を、博物館に展示していただきたいものである。
なお、国立国会図書館では明治時代の出版物を順次Web閲覧できるようにしており、『日本古代文字考』(落合直澄著)も近く閲覧可能になると思われる。
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11月24日(月)
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