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龍神様のささやき
by 龍
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■ご縁を感じて
江戸時代。ある目の不自由な方が、友人の家を訪れた時の事です。

夜も時間が遅くなり、その方が帰ろうとされた際、友人の方が「夜道ですから提灯をお持ちなさい」と言われました。
目の不自由な彼は、「私は目が見えないのだから、提灯なんてあってもなくても変わりませんよ。私の事をからかっているのですか?」と、ちょっとムッとした返事を返されました。

すると友人は、「あなたには提灯が必要ないかもしれないが、あなたが提灯を持ってないと、目が見える人が分からずにぶつかってしまうかもしれない。だから提灯を持ってお帰り下さい」と言いました。


話が変わりますが、私自身も自転車に乗る事があります。
暗い夜道で相手の自転車が無灯火だと、すれ違う直前までその存在に気づきにくく、危険に感じる事などがあります。
そして、普段自分が必要に思ってなくても、自分がそれを気を付けていなかったり、備えていない事によって、相手や他人が困るといった事は多々あるものです。

例えば、団体などの大人数で旅行をした時に雨に降られた際、ある一人の男性だけが傘を持っておらず、また彼自身も、「ちょっとぐらいなら濡れても構わないかな・・・」と考えていました。
しかし、それを見ていた旅行者の方が心配され、自分はまた別の方と相合傘をして、余った傘を彼に差し出して下さいました。

その出来事があった際、彼は「自分の事が自分一人だけの事ではない」という事に気付き、自分が傘を用意していなかった為に、他の方に迷惑をかけてしまった事を感じられました。

よく、「自分の事だから、自分がどうしようと自分の勝手じゃないか」と仰られる人がいます。しかし、団体や共同生活をしているとよく分かりますが、仲間の誰かが怪我をしたり、病気をしたりして何かあったりすると、他の方も気が滅入ったり心配になるものです。
それは職場や学校、家庭でも同じであり、一人の健康や不健康、幸福や不幸が他の人にも大きな影響を及ぼす事があります。

私達は日々を過ごす中で、とても多くの人と関わりを持ち、支えを受けて生きているものです。
仏様の教えで言うとそれはご縁によって支えられている事をさし、あなた自身の言動も、縁によって誰かの支えになったり何かしらの繋がりを持っているものとなります。

今までのお便りにおいても、因縁や縁起といった、縁に関するお話をさせて頂きましたが、皆様の身近にある縁を感じて頂く事によって、日々の生活や幸せな歩みへと繋げて頂けたなら嬉しく思います。
04月19日(日)
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