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龍神様のささやき
by 龍
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■壷の中の林檎
昔ある一匹の猿がいました。その猿は近くの村によく現れては、蓄えてある食糧に手をつけるイタズラ者で、村人達はいつも手を焼いている状況がございました。

ある時いつものように村に行くと、猿は壷の中に入った林檎を見つけました。大好物の林檎を食べようと猿はその中に手を入れたのですが、なんと手を抜こうとしても抜けなくなってしまったのです。ビックリした猿は手を振り回したり、一生懸命引張ってみるものの全く効果はありません。
困り果てた結果泣いていると、そこに村の村長さんが現れました。村長さんは猿に対して、「壷の中にあるものを放してごらんなさい」と言いましたが、猿は「イヤだ!」と言って言う事を聞きません。村長さんは「中にあるものを放せば、手が自由になるから抜けますよ」と言いました。猿はその言葉に半信半疑でしたが言う通りにした所、手を抜く事が出来ました。

物事に対する「執着」とは、上記の話と全く同じ部分があり、全てのものに縛られず、とらわれない事とは握り締めない事となります。
その後、猿は村長さんにお礼を言って、村長さんも「この林檎をあげるから、もう悪さはしないように」と言い、イタズラをやめるようになりました。

皆様におきましても、今ご自身が手に握り締めているものは何になりますでしょうか。お金、地位や名誉、昔の恋人や、片思いの異性等々・・・。一生懸命につかんで離さず、自分の手元に持って来ようとしても、なかなか思い通りにならない状況があるのではないでしょうか。

しかし、それを手放す事によって苦しみや悩みから抜け出す事が出来、また今まで手に入らなかった物が、反対に手に入る状況がございます。
知恵のある人は悩む事がなく、また村長さんは猿を助ける事が出来たように、その道理を理解している方は、迷いや苦しみから離れています。頭ではわかっているものの、実践する事は非常に難しい部分がございますが、悩まれてしまった時には、悩みの原因である「林檎」を放す知恵と勇気をお持ち頂ければと思います。
10月30日(日)
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