ID:102711
声優さんと映画とアニメと
by まいける2004
[857649hit]
■おれの30分をお前に
今週のATXのテッカマンブレードは19話。
テッカマンに変身して30分を超えるとテックシステムが暴走し正気を失うDボウイ、暴走の果てに仲間を殺しそうになったことがトラウマとなり、それまでの一人心に秘めて戦ってきた悲しい宿命の重圧とで心が折れてしまったDボウイ、暴走するテッカマンを恐れ彼を拘束する連合地球軍。
囚われたDボウイを救出に行ったノアルとアキに、放っておいてくれと叫び心を閉ざすDボウイ。
一方、ブレードを心理的に追いつめ戦闘不能に追い込んだ張本人のエビルは連合地球軍本部を襲撃。
スペースナイツのテッカマン研究結果を貰って開発したフェルミオン砲を搭載した機動装甲兵器ソルテッカマンにパイロットとして搭乗したバルザックは、圧倒的なテッカマンエビルの攻撃力の前で善戦するも本物のフェルミオン砲であるボルテッカ攻撃にあい、一般兵とともに大打撃を受ける。圧倒的な攻撃力の差で無抵抗同然になった連合地球軍本部にエビルが遣わした大量のラダム獣が軌道より降下して襲い掛かる。
破壊される連合地球本部。その中で自閉症のように反応しないDボウイを、救出しようとして持て余すノアルとアキ、はたして人類は、防衛地球軍は・・・というテッカマンブレードシリーズでもちょうど前半の山場へ向かう重要な伏線の回。
ブレードファンなら必ず覚えているのがこの次の20話。
落ち込み心が折れたDボウイを復活させるアキの銘台詞「あなたの30分を私に頂戴」そしてまるでDボウイからの精一杯に愛の告白返し「俺の30分をお前にやる」が聴ける回です。
この回こそが、アキとDボウイの心が繋がった瞬間であり、以降二人の関係は、たとえどんなに物理的距離が空いていても繋がり続ける、この先決して消えることが無い永遠の友情と絆と愛が芽生えた瞬間です。
ということで、この回は、此処数話ずっととても苦しむDボウイを見せられていた挙句、とうとうプッツン来てしまって思い入れがあれば本当に辛く苦しい回です。最初の頃はあまり好きな回ではなかった、というか観るのが辛い回だったのですが、なぜか今回ATXの放送を見て、各声優さんの渾身の演技に魅せられました。
アニメだけど、これは本当にみんな真剣勝負の良い演技をしています。
賢雄さん演じるバルザックも、Dボウイを化け物呼ばわりして自分がとって代ろうとする軍の野心家将校なのですが17話から次回の20話までで、彼の栄光と挫折が同時に平行して描かれる。
このバルザックの声の雰囲気がとても今の賢雄さんの雰囲気からは想像できない硬質で、どちらかろ言えば24の小山力也さんに近い雰囲気があります。賢雄さんのこういう役、アニメでは珍しいかもしれません。
それと結構おちゃらけていたけど、実際は硬派で男気のあるノアルが、これまたSSDSではおなじみの松本さん、コノ頃は結構2枚目担当、ヒーロー物の主役やメイン級で美形担当だったなぁと懐かしく思います。
それにしても、エビルな子安さんは声の雰囲気が変わらない。これは本当にはまり役の悪役。
そして、賢雄さんと同じく今よりはるかに硬質で若い声の森川さん(ご本人曰く青い時期だったらしい、笑)
演技に余裕はないですが、とてもストレートで感情むき出しの硬派で一本筋の通った体育会系の演技で、これまた、まさに出世作としては十分。
ご本人も、この間のアニメエキスポの質問の回答で、このDボウイの役が無かったら今声優さんをやっていなかった(ここAX2009の会場に居なかった)とコメントしたそうです。
やはりいろいろな意味で、声優をはじめて5年目だった、それまでアニメでは脇がほとんどだった森川さんにめぐってきた主役のチャンス。それをきちんとこなしたことで以降にトップ声優への道に踏み出せたのではと思います。アニメ業界に彼の存在を認識させた記念すべき作品なんだと思います。
このエピソードのあたりから、森川さんのDボウイの演技も安定感と迫力と感情移入の上手さが増して、本物の主人公な雰囲気を帯びて来た時期だと思います。テックセッターの掛け声も、ボルテッカの雄たけびも、そして戦闘の息も叫びも、すでにこのあたりで完成レベルに近くなり、本物への道を踏み出した時期だったのだと感じてしまいます。
しまったなぁ・・・
[5]続きを読む
07月08日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る